適応格子
てきおうこうし
説明
適応格子は、計算中または計算前後に、解の勾配が大きい箇所や関心領域に対して局所的に格子を細分化し、精度を向上させる手法である。例えば衝撃波や境界層、火炎面など細かい解像が必要な部分でセルサイズを小さくする一方、平穏な領域では粗い格子のままとすることで、同一精度なら計算量・メモリ消費を大幅に削減できる。AMRは、計算途中で誤差指標に基づき動的に格子を精細化・粗大化する動的適応と、事前に見積もった領域を詳細化する静的適応がある。格子の細分には木構造(クワッドツリー・オクツリー)やセル細分アルゴリズムが用いられ、細分化領域と未細分領域の境界では情報の補間や特別な格子結合(非連続格子結合)を行う。AMRによって、重要現象を逃さず捉えつつ全体計算負荷を抑えることが可能になり、大規模な天体流体シミュレーションからエンジン内燃焼解析まで広く導入されている。