超音速流
ちょうおんそくりゅう

説明

超音速流は、流体(主に空気)の流れの速度がその音速(マッハ1)を超える領域での流れを指す。超音速流では、情報伝達の速度(音速)よりも流れのほうが速いため、下流の物体の存在は上流には影響を及ぼさない。特徴的な現象として、物体周りに斜め衝撃波や膨張波が形成され、圧力・密度・温度が急変する不連続面が現れる。また、物体が発する擾乱はマッハ角と呼ばれる後方に広がる円錐(2次元では線)状の領域内に限定される。超音速飛行時には、亜音速時に比べ抗力が増加し(波動抗力の発生)、機体設計にはシャープな形状やエリアルール(面積律)などの考慮が必要となる。エンジン内部の超音速流(例えばラムジェット、スクラムジェット)では効率的な衝撃波圧縮が鍵となる。超音速流の解析には、マッハ数に応じて適用範囲が変わる流体力学の法則や特性があり、理論的には衝撃波のランキン–ユゴニオ方程式やプラントル–マイヤー展開式などが用いられる。航空宇宙工学や弾道学で必須の概念である。