臨界熱流束
りんかいねつりゅうそく

説明

臨界熱流束(CHF)は、核沸騰から膜沸騰への転移が起こる境界の熱流束を指す。加熱面から液体への熱流束を増大させていくと、ある最大値で熱伝達特性が急変し、これがCHFである。CHF点では、沸騰気泡が加熱面を過度に覆いはじめ、液体の供給が追いつかなくなるため、局所的に乾燥スポットが形成され始める。CHFを超えると加熱面全体が蒸気膜に包まれる膜沸騰に至り、熱伝達が悪化して壁面温度が急上昇する。CHFは安全に直結するパラメータであり、原子炉やボイラー設計では十分なマージンをとって運転条件が定められる。CHFの値は圧力、流速、サブクール度、表面状態など多くの因子に依存し、研究分野ではZuberの式など経験的相関式が知られている。