翼端渦
よくたんうず
説明
翼端渦は、航空機の翼やプロペラブレードなどの端で発生する強い渦である。揚力を発生する翼では、下面の高圧空気が翼端で上面側へ回り込み、後流中に渦を形成する。これが翼端渦であり、左右の翼から発生した一対の翼端渦は長い距離にわたり後流で持続する。翼端渦はエネルギー損失(誘導抗力)の原因となり、後続機への乱気流(ウェイク・タービュランス)ともなるため、航空機設計ではその低減が重要課題である。対策としてウィングレット(翼端板)を取り付けて翼端渦強度を弱める手法が広く用いられている。また、翼端渦の構造は渦コア周辺で低圧になっており、時に可視化される(湿度が高い条件で渦中心に水滴が生じ雲状に見える)。翼端渦は空力学的に避けがたい現象だが、その理解と制御は航空機の性能と安全性向上に直結する。