経験的モード分解
けいけんてきもーどぶんかい
説明
経験的モード分解(EMD)は、非線形・非定常な信号を自己適応的に複数の振動モード(固有モード関数: IMF)に分解する手法である。ヒルベルト–フーリエ変換とも関連し、まず信号から最も高周波な成分を逐次抽出しIMFとし、それを除去して次の成分を求めるという処理を繰り返す。こうして得られる各IMFは、信号内の異なるスケール(周期)の振動成分を表し、瞬時周波数の概念と組み合わせることで時間変化する周波数特性(ヒルベルトスペクトラム)を分析できる。EMDは海洋波浪データや乱流の速度信号など、従来のフーリエ解析では捉えにくい非定常性の強いデータに適しており、直感的なアルゴリズムのため信号処理や故障診断の分野でも利用が広がっている。