空力中心
くうりきちゅうしん

説明

空力中心は、物体(翼など)に働く空気力について、揚力係数が変化してもモーメント(ピッチングモーメント)が一定となる点を指す。翼型において理想的には25%翼弦長付近に空力中心が存在し、その点を通る線(主翼では翼弦方向の1/4線)周りのモーメント係数は揚力係数に依らず一定となるという結果が得られている。これは細かい仮定(薄翼や低迎角)があるものの、実務的にも主翼の設計では空力中心がほぼ翼弦長の1/4に位置するとみなして安定性解析を行う。航空機の重心が空力中心より前にあると静安定となり、後ろにあると不安定になるため、空力中心の位置と重心位置の差(静安定裕度)は航空機の設計・運用の重要項目である。空力中心は圧力中心とは異なり揚力が変化しても動かない理想点であり、安定性と制御性を考える上で便利な概念となっている。