直接シミュレーション・モンテカルロ法
ちょくせつしみゅれーしょんもんてかるろほう
説明
直接シミュレーション・モンテカルロ法(DSMC法)は、ボルツマン方程式に基づいて希薄気体の流れをシミュレーションする数値手法である。流体を多数の計算粒子に離散化し、粒子の移動と衝突を確率的(モンテカルロ的)に模擬することで、気体分子運動と統計的挙動を再現する。DSMC法はクヌーセン数が中〜大の流れ(連続体仮定が破綻する領域)で有効であり、ナビエ–ストークス方程式では対応できない真空風洞試験、高高度飛翔体の希薄空力、MEMS内のガス流れなどに適用される。アルゴリズム上、各時間ステップで粒子運動(対流ステップ)とペアリングした衝突処理(衝突ステップ)を繰り返す。計算効率のため、多体衝突の近似やセル分割による空間分割が行われる。DSMC法によって得られた密度・速度・温度場は、十分統計平均することでナビエ–ストークス解に近づく一方、粒子ゆらぎによる微視的不規則性も表現可能であり、分子レベルの現象解析に強力なツールとなっている。