渦
うず
説明
渦とは、流体がある点または軸の周りに回転する流れのことであり、その典型として自由渦と強制渦、両者が組み合わさったランキン渦の三種類が挙げられる。自由渦は外部からエネルギー供給が無い自然発生の渦で、回転速度𝑣が中心からの半径𝑟に反比例(𝑣∝1/𝑟)し、流体要素自体は自転しない(渦度0)。典型例は竜巻や排水口の渦で、中心に近いほど流速が大きく理論的には中心で無限大になる(完全な自由渦は理想化)。強制渦は外部から強制的に流体に回転エネルギーを与えた渦で、回転速度が半径に比例(𝑣∝𝑟)し、流体は剛体回転のように振る舞う。これは攪拌機でかき混ぜた水や洗濯機の渦に近く、渦内部では流体要素も一緒に回転する。ランキン渦はこれら自由渦と強制渦を組み合わせたモデル渦で、中心近くは強制渦挙動、外側は自由渦挙動を示す。実在の多くの渦(台風の目、航空機翼端渦など)はランキン型に近く、中心付近で固体的回転、外側で1/r減衰の速度分布を持つ。渦は中心が低圧になり流体を巻き込み、また一度形成されるとなかなか消えにくい(ヘルムホルツの渦定理)という性質がある。