水力直径
すいりきちょっけい
説明
水力直径は、非円形の流路断面を持つ流体機器において、流れの性状(例えば圧力損失や熱伝達)を円管の場合と同様に扱うために定義される代表寸法である。計算式は \(D_h = \frac{4A}{P}\) で与えられ、\(A\) は流路の断面積、\(P\) は湿潤周長(流体と接する断面の周囲長さ)である。円管では水力直径は直径そのものに等しくなるが、矩形ダクトや環状流路などでは水力直径を用いることでレイノルズ数やヌセルト数などの計算に円管の相関式を適用しやすくなる。例えば、幅\(W\)高さ\(H\)の長方形ダクトでは \(D_h = \frac{4WH}{2(W+H)}\) と求められる。水力直径はあくまで便宜的な定義量であり、流れが複雑な場合や断面形状が著しく異なる場合には完全には円管と同等にはならないが、工学上多くの場面で有用な指標として用いられている。