固有直交分解
こゆうちょっこうぶんかい
説明
固有直交分解(POD)は、複雑なデータ(特に流れ場のデータ)の中から最もエネルギー的に重要な直交基底(モード)を抽出する次元削減手法である。与えられたデータ系列(例えば流れ場の時系列)の共分散行列を作成し、その固有値問題を解くことで直交な固有ベクトル(空間モード)と固有値(それに対応するエネルギー寄与)を得る。PODモードは観測データの分散(エネルギー)を最大限に表現する基底であり、少数のモードで原データを近似・再現するのに適している。例えば乱流場にPODを適用すると、代表的な大規模渦構造を上位のモードとして得ることができる。PODはデータ圧縮や低次元モデル構築、計測データの雑音低減などに利用され、数値解析や実験の両面で広く用いられる。