剥離
はくり

説明

剥離とは、流体が物体表面に沿って流れる際に、境界層内の粘性の影響で流速が低下し、ついに壁面から流れが剥がれて分離する現象である。一般に物体表面を流れる流体は粘性によって壁面近傍で減速するが、流れの圧力上流勾配が強い場合などには境界層内で逆流が生じ、流れが壁を離れてしまう。剥離が起こると、物体後方には後流(剥離泡や渦を含む循環領域)が発生し、揚力の減少や抗力の増加につながる。例えば翼の迎角を増やしていくと臨界角以上で流れが翼表面から剥離し、失速状態に至る。剥離は飛行機翼や車両、配管のエルボなど様々な場面で現れ、CFDでは剥離点や剥離後の渦構造を予測するために高い格子解像度や適切な乱流モデルが必要となる。