亜音速流
あおんそくりゅう

説明

亜音速流は、流れの速度が音速より遅い流れ(マッハ数が1未満)のことである。通常の低速から中速の空気の流れは亜音速流であり、この領域では流体の圧縮性の影響が小さいため、密度変化を無視した非圧縮性流体の近似が良く成り立つ。ただし、マッハ数が0.3〜0.5以上になると圧縮性の効果が現れ始め、完全に無視はできなくなる。航空力学では、民間航空機の巡航マッハ数(0.8程度)は厳密には圧縮性を要する遷音速領域だが、軽飛行機などの飛行は典型的に亜音速条件で行われる。亜音速流れでは衝撃波のような不連続は生じず、擾乱は音波となって全方向へ伝わるため、流れ場全体が相互に通信している状況といえる。このため、物体に対する空気力はポテンシャル流れ理論や薄翼理論など、比較的単純な解析で予測可能である。亜音速流の概念は、機械換気、車両の空力、風洞実験など幅広い工学分野で適用される基本的な流れの範囲である。