ヤコブ数
やこぶすう
説明
ヤコブ数は、沸騰や凝縮など相変化を伴う熱伝達の特徴を表す無次元数であり、液体の過熱による顕熱と蒸発潜熱の比として定義される。定義式は \(\mathrm{Ja} = \frac{c_p \Delta T}{h_{lg}}\) で、\(c_p\) は液体の比熱容量、\(\Delta T\) は液体の過熱度(飽和温度との差)、\(h_{lg}\) は蒸発潜熱である。ヤコブ数が大きいということは、液体が保持する過熱の顕熱エネルギーが蒸発に必要な潜熱に比べて大きいことを意味し、気泡成長に有利な条件となる。一方、小さいヤコブ数では、発生した気泡は周囲の液体の冷却によって消滅しやすい。ヤコブ数は、核沸騰の開始条件(沸騰開始過熱度)や気泡径の評価に用いられ、例えば冷却水が強く過冷却の場合(ヤコブ数小)には気泡が発生してもすぐ凝縮してしまうため、核沸騰が抑制される傾向がある。