ケルビン–ヘルムホルツ不安定性
けるびんーへるむほるつふあんてい
説明
ケルビン–ヘルムホルツ不安定は、密度の異なる二つの流体層に速度差がある際に界面で発生する不安定性現象である。典型例として、大気中での風の剪断による雲の波状の渦巻や、河川の表面、混合層・噴流における渦列の形成が挙げられる。速度差を持つ層流の界面に小さな擾乱が生じると、それが増幅されて渦状の波となり、やがて巻き上がって渦対が形成される。この渦対の成長により流体同士が激しく混ざり合い、層構造が破壊され乱流化へと進展する。ケルビン–ヘルムホルツ不安定はCFDシミュレーションでも現れる重要な不安定性であり、大気科学や海洋学(例:大気と海洋の境界層の波、表面波のブレイク)から工学(燃焼器内の混合促進など)まで幅広く関係する。