カオス
かおす

説明

カオスは、決定論的な力学系でありながら予測困難な挙動を示す非線形現象を指す。初期値鋭敏性(バタフライ効果)により、ごくわずかな初期条件の違いが長期的な大きな差異をもたらすため、長期予測が実質的に不可能となる。流体力学では、乱流が代表的なカオス的現象であり、ナビエ–ストークス方程式という決定論的方程式に従いながらも極めて複雑で予測困難な挙動を見せる。カオス理論ではアトラクタ(ストレンジアトラクタ)やリーアプノフ指数を用いてカオスの性質を定量化する。カオスの概念は、渦の不規則な生成消滅、気象現象の変動など、流体関連の多くの現象を理解する上で重要であり、近年ではカオス性を考慮したデータ同化や予測手法の研究も行われている。