キャビティ内の自然対流

解析概要

Advance/FrontFlow/redでキャビティ内に温度差を与え自然対流をシミュレートしました。 壁で密閉された空間において、壁面に温度差があると自然対流が発生します。 例えば、図1において左側壁面が右側壁面よりも高温で、上下壁面が断熱の場合には、 時計回りの自然対流が発生します。また、流動状態はグラフホフ数とプラント ル数の積であるレーリー数が小さい場合には層流状態で、レーリー数が大きくなるにつれて、 層流変動が生じて乱流に遷移することが知られています。

計算条件の概要

シミュレーションの計算条件は以下のように設定します。

1 計算領域

図1のような無次元距離 1×1 の正方形領域とし、 \(z\)軸負の向きに重力が加わります。

2 境界条件

境界速度温度
上下壁面滑り無し断熱
左側滑り無し1
右側滑り無し0

3 物性値

プラントル数レーリー数
0.71\(10^3\)と\(10^6\)

解析結果

以下図2~4に計算結果の速度分布を示します。 左側の高温壁で温められ右側の低温壁で冷やされるため、密度は左から右に重くなり時計回りの対流が起こります。Ra\(=10^3\)からRa\(=10^6\)への間で層流から乱流への遷移があり、流れの特徴が変化しています。 高温壁における局所ヌッセルト数も図5のように傾向が変化します。

図2 速度ベクトル

図3 無次元速度分布。(a) 水平方向成分の等高線。(b)鉛直方向成分の等高線。

図4 断面速度分布。(a) 無次元速度水平方向成分の分布(x=0.5)。(b)無次元速度鉛直方向成分の分布(z=0.5)。

図5 高温壁における局所ヌッセルト数。

最後に本解析と文献値の比較を表1に示します。

Ra\(=10^3\)文献[1]Ra\(=10^6\)文献[1]
水平方向速度 の最大値\(U_\rm{max}\)3.6413.64967.6864.63
と 位置\((X=0.5)\)\(Z_\rm{max}\)0.82050.8130.86440.850
鉛直方向速度 の最大値\(W_\rm{max}\)3.6933.697222.17219.36
と 位置\((Z=0.5)\)\(X_\rm{max}\)0.17940.1780.03380.0379
最大ヌッセルト数\({Nu}_\rm{max}\)1.5311.50518.73317.925
と高温壁における 位置\(Z_\rm{max}\)0.10250.0920.03390.0378
最小ヌッセルト数\({Nu}_\rm{min}\)0.7110.6921.2140.989
と高温壁における 位置\(Z_\rm{min}\)1.01.00.9831.0
高温壁の平均ヌッセルト数1.13721.1189.148.8

適用例

  • 自然対流・強制対流の関わる現象
  • 冷暖房、熱交換機など

参考文献

[1] De Vahl Davis,G, Natural convection of air in a square cavity: A bench mark numerical solution, Int. J. Numer. Meth. Fl. 3 (1983), 0271-2091

カテゴリ

熱流体

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