失速
しっそく

説明

失速は、主に翼など揚力を発生させる物体において迎角が過大となった結果、物体表面の流れが剥離し揚力を維持できなくなる現象である。たとえば航空機の翼では迎角(翼と気流のなす角度)を徐々に増やすと揚力係数は増加するが、ある臨界迎角(失速角)を超えると急激に揚力が減少し抗力が増大する。これは境界層の剥離によって翼上面の流れが乱れて圧力分布が崩れるためで、翼が失速すると機体の揚力不足で急降下や制御困難を招く。失速は航空機の離着陸時や急旋回時に注意すべき現象であり、パイロット訓練や失速警報装置などで対策されている。工学的には、失速予測のため翼型の失速特性実験やCFD解析が行われ、揚力増加策(スラットやフラップの使用)や失速後の挙動制御が研究されている。