後流
こうりゅう
説明
後流は、物体が流体中に存在するときに、その背後に形成される低速かつ乱れた流れの領域である。物体表面で境界層が剥離する場合、後方には渦を含んだ不安定な流れ(カルマン渦列など)が生じ、これが後流域として広がっていく。後流内は周囲の主流に比べ速度が低く圧力が低下しており、工学的には物体に働く抗力(圧力抗力)の主要因となる。例えば自動車やビルの背後の巻き込み、橋桁後流による渦励振現象、航空機翼端からの翼端渦による航跡などが後流の例である。後流の構造や復元長さはレイノルズ数や物体形状に依存し、CFD解析や風洞実験により適切に評価される。後流は交通工学や建築空調、風車列配置など実務的にも重要な考慮事項である。