カルマン定数
かるまんていすう
説明
カルマン定数(フォン・カルマン定数)は、乱流境界層の速度分布を記述する対数則に現れる経験的定数である。乱流境界層の壁面近傍における速度分布は、「壁法則」として知られる対数則で近似され、その式は \(u^+ = \frac{1}{\kappa} \ln y^+ + B\) で表される(\(u^+\):無次元化した流速、\(y^+\):壁面法距離、\(\kappa\):カルマン定数、\(B\):経験的定数)。カルマン定数 \(\kappa\) は普遍的な値を持つと考えられ、およそ0.41が広く受け入れられている。これは実験やDNS(直接数値シミュレーション)の結果から支持されており、乱流統計の普遍性を表す一つのパラメータとなっている。カルマン定数は、乱流モデル(\(k\)-\(\epsilon\)モデルなど)の壁関数や、工学的乱流予測で不可欠なログ法則の中核をなす値であり、その正確な値や適用範囲については乱流研究で検討が続けられている。