連続体仮定
れんぞくたいかてい

説明

連続体仮定は、流体を個々の分子ではなく連続した媒質(連続体)として扱う仮定であり、流体力学の基礎にある前提条件である。実際の流体は分子から構成されるが、連続体仮定の下では流体の物理量(密度・圧力・速度・温度など)は空間的に連続かつ微分可能な場として定義される。この仮定が成立する条件は、流体の平均自由行程(分子間の平均距離)に比べて流れ場の特徴長さが十分大きいことである。クヌーセン数(分子自由行程/代表長さ)が極めて小さい場合、連続体仮定が妥当となり、ナビエ–ストークス方程式による解析が可能となる。一方、クヌーセン数が大きくなる極低圧気体やマイクロナノスケール流れでは、連続体仮定が破綻し、分子運動論(ボルツマン方程式やDSMC法)の適用が必要となる。連続体仮定は工学上のほとんどの流体現象で有効であり、CFDを含む古典的流体解析の基礎をなしている。