テイラー・クエット流れ
ていらーくえっとながれ
説明
テイラー・クエット流れは、同心円筒の内側または外側を回転させたときに、円筒間の流体に生じる流れである。半径の異なる二つの円筒から成り、典型的には内側円筒を回転させ外側円筒は静止(または両方回転)という条件で実験・解析される。低い回転速度では、流れは単純な円周方向の層流(クエット流れ)となるが、臨界の回転数を超えると軸方向に周期的な渦構造(テイラー渦)が発生する。このテイラー渦は同心円筒間に環状のセル状構造を作り、流体混合や熱伝達が大幅に促進される。さらに回転数を上げると、渦が時間的にも複雑な動きを示し、乱流テイラー渦流れへ移行する。テイラー・クエット流れは流体の安定性理論の検証における古典的問題であり、線形安定解析により臨界条件(テイラー数による表現)が求められている。近年では、高レイノルズ数下でのテイラー渦乱流の研究や、反応器への応用(混合促進)などでも注目されている。