臨界マッハ数
りんかいまっはすう

説明

臨界マッハ数は、物体(特に航空機翼)周りの流れで局所的に音速(マッハ数1)に達する点が現れ始める自由流マッハ数を指す。自由流マッハ数が臨界マッハ数を超えると、翼表面上に微小な衝撃波が発生し始め、抗力係数が急増する(いわゆる圧縮性抗力の発散が始まる)。この臨界マッハ数は翼型の厚みやキャンバーに依存し、より薄く適度にキャンバーが抑えられたスーパークリティカル翼型では臨界マッハ数が高く(つまり高い速度域まで衝撃波発生を遅らせることができる)。航空機設計では巡航マッハ数が臨界マッハ数を下回るよう翼型を選ぶか、あるいは適度に超えても抗力増分が小さいよう設計する必要がある。例えば臨界マッハ数0.7の翼をマッハ0.8で飛行させると急激な抗力増加(いわゆるバフェット領域)が発生する可能性がある。臨界マッハ数の概念は高速機の性能限界や経済速度の決定において重要である。