揚力線理論
ようりょくせんりろん
説明
揚力線理論は、有限スパンの主翼が発生する揚力とそれに伴う翼端渦(誘導抗力)を解析するための古典的理論で、プラントルによって提案された。主翼を翼端間に張られた一つの渦糸(揚力線)に置き換え、縦渦度分布を表す循環分布を連続的に設定する。そして、各地点でのダウンウォッシュ(下向き誘導速度)とクッタ–ジューコフスキーの定理を組み合わせて積分方程式を立て、循環分布を求める。この結果から翼全体の揚力および誘導抗力を計算できる。理論上、楕円分布の循環(揚力分布)を持つ翼が最も誘導抗力が小さいことが示される。揚力線理論は、計算機が登場する以前の航空機設計において基本的な揚力・抗力見積もり手法であり、現代でも教育や初期設計で用いられる。また、この理論の延長として、揚力面理論や渦格子法といったより詳細なパネル法への発展も見られる。