モーメント係数
もーめんとけいすう

説明

モーメント係数は、物体に働くモーメント(力のモーメント、回転させようとする力)を無次元化した係数であり、航空力学では主にピッチングモーメント係数を指すことが多い。定義は、\(C_m = M / ( \frac{1}{2}\rho V^2 S c )\) のようにモーメント \(M\) を動圧 \(\frac{1}{2}\rho V^2\)、翼面積 \(S\)、翼弦長 \(c\) で無次元化する(ここでは翼の揚力中心や空力中心周りのピッチングモーメントを考える)。モーメント係数は迎角によって変化し、迎角ゼロで非ゼロの場合はキャンバーの有無などによる操舵なし時のモーメントを意味する(ゼロ揚力モーメントともいう)。安定な翼では迎角増加に対してモーメント係数が減少(負の傾き)し、これが復元力となる。モーメント係数の勾配と重心位置の関係で静安定性が評価でき、さらに舵面の効果や機体全体のバランス計算にも用いられる。モーメント係数は胴体や尾翼など他部位についても定義され、全機モーメントの解析に寄与する。