熱境界層
ねつきょうかいそう

説明

熱境界層は、固体壁面に接する流体領域で温度勾配が顕著に現れる層のことである。壁面に温度差がある場合、壁付近の流体は熱の受け渡しによって周囲の主流より温度が高い(または低い)領域を形成する。壁面から離れるに従って流体温度は主流の温度に漸近し、この温度差が見られる薄い領域が熱境界層である。熱境界層の厚さは流れの状態(層流・乱流)や熱伝導率、流速などによって決まり、流れの速度境界層に比べてプラントル数によって厚さ関係が変化する。例えば、液体金属のようにプラントル数が極小の流体では熱境界層が速度境界層より厚く、空気のようにプラントル数が約0.7の流体では両者は同程度となる。熱境界層は対流熱伝達の解析で重要な概念であり、壁面熱流束や温度分布の評価に不可欠である。