放射率
ほうしゃりつ

説明

放射率は、物質表面が黒体に対してどの程度効率よく熱放射を行うかを示す無次元の係数である。値は0から1の範囲をとり、1は理想的な黒体であり最大の放射能力を持つことを意味する。例えば、磨き上げた金属表面は放射率が低く(0.1未満程度)熱を放射しにくいが、黒塗りの表面や酸化物被膜を持つ材料は放射率が高く、効率的に熱放射を行う。放射率は温度や波長にも依存し、全波長平均の全放射率や特定波長での分光放射率として定義される。工学的には、熱交換器や断熱材設計で表面仕上げによる放射損失を管理する際や、サーモグラフィ計測で正確な温度を得る際などに考慮される重要な特性である。